一部の戦史マニアやミリタリー・モデラーを除けば、殆どの日本人が知ることもないフィンランドの「継続戦争」を、文字通り無名兵士の視点から描いた戦争映画です。がしかし、ドイツとソ連という大国に挟まれた小国の命運を賭けた戦いは、同じく大国間の狭間にあってその未来を探る現在の日本の置かれた状況と無縁なものではありません。 現代史に興味のある者、現在ただいまの日本を考える者にとっては一見の価値あり。 たまには映画を通して現代史の一旦に触れてみよう。
押井守(映画監督)
森閑と静まった針葉樹林の中を突然銃声が響き渡り、隣にいた人間が唐突に死ぬ。「人を殺すんじゃない。敵を殺すんだ」。ベテラン兵士の言葉の重さに慄然とする。淡々だからこそのリアル。戦争に高揚はないと、改めて思わされた
中島かずき(劇作家・脚本家)
遠い歴史の一コマとしてだけでなく、映画の主人公たちと一緒に戦場に叩きこまれたような感覚——。戦いに引きずり出された兵士たちは戦場を「生きる」しかないのだ。
平山秀幸(映画監督)
俳優達が素晴らしい。 全員が完璧。 複雑な人間関係を見事に演じている。感情のぶつかり合いの映像美は兎に角美しい。
北村道子(スタイリスト)
リアルな戦闘シーンの連続で、小国フィンランドが占領された国土の奪還のために大国ソ連と戦う。自国を守るための英雄的な兵士の姿に感動しました。
元谷外志雄(アパグループ代表)
フィンランド人は、戦争について肯定も否定も忘れもしないために、この映画を観続ける。無名の戦士たちを主役にしたのも、彼らの儚い人生と屍の上にこの小さな国家が存続しているからこその、敬意と思いやりなのだ。
こばやしあやな
(フィンランド在住コーディネーター)
数々の戦争映画を観てきたが、これほど美しい風景の中でリアルな戦闘が描かれる作品を観たことがない。当時、戦った実際の“アンノウン・ソルジャー”たちにとっては、そんな美しい自然さえ単なる過酷な戦場にしか思えなかったに違いない。
松下元綱(FLIX編集長)
ものすごい破壊力を持った戦争映画だ。 貫かれているのは徹底したリアリズム。 そこを突き抜けたところに深い感動が待っている。
近藤邦彦(SCREEN編集長)
「故郷に帰りたい」「死にたくないから敵を殺してしまうだけ・・」 最前線の兵士たちは常に悲痛であり、小国の兵士ならなおさらだ。 知られざる戦場、無名の小隊のリアルを描くこの力作は、 フィンランド版「プラトーン」、「フューリー」と言える!
秋本鉄次(映画評論家)
今だからこそ問う。領土奪還に戦争は必要か? その答えがここにある。最前線兵の悲哀と悲惨。束の間帰還兵と妻のサウナ入浴シーンが印象的、なるほどフィンランド映画だ。
塩田時敏(映画評論家)
敬称略・順不同